外国人観光客の宿泊予約は増えているのに、自社サイトが何語にも対応していないという観光関連の事業者も、鳥取ではまだ少なくありません。ただ、鳥取を訪れる外国人観光客の内訳を見ると、英語圏だけでなく中国語・韓国語圏の比重が大きく、英語ページを用意しただけでは取りこぼしが出ているケースもあります。鳥取のインバウンド集客では、上位国籍の言語に絞った多言語対応と予約導線の整備が有効です。鳥取で観光関連の店舗・施設を営み、インバウンド対応を検討している方に向けて、押さえておきたいポイントをまとめました。
この記事の要約
- 鳥取の外国人宿泊者数は全国トップクラスの伸び率、上位は中国・韓国・台湾
- 中国語・韓国語で検索すると鳥取の個別事業者サイトはほとんど見当たらず、旅行プラットフォームが情報を独占
- 韓国はNaver、中国は百度や微信など検索の主戦場がGoogleと異なる点も見落とされやすい
- 英語だけでなく上位国籍の言語での予約・決済導線を整え、早めに仕込むことが差別化につながる

目次
鳥取の外国人宿泊者数は全国トップクラスの伸び率
実際の数字を見てみます。2025年、鳥取県内のホテル・旅館に宿泊した外国人はのべ20万3,600人で、統計を取り始めた2007年以降で最も多く、初めて年間20万人を超えました。前年からの伸び率は72.0%で、都道府県別で全国トップでした*1。
国・地域別に見ると、中国が3万1,720人(前年比77.6%増)で最も多く、韓国が2万8,080人(同73.8%増)、台湾が2万4,870人(同72.7%増)と続きます*1。この3か国・地域だけで、鳥取を訪れる外国人宿泊者の半数近くを占める計算です。伸びの背景には、米子空港とソウル(仁川国際空港)を結ぶ定期便が週3便から5便に増便されたことや、米子-台北便が新規就航したことがあると分析されています*1。鳥取砂丘や大山、水木しげるロードといった主要観光地の人気に加え、空路のアクセス改善が数字を押し上げている形です。
こうした伸び率は、鳥取県が観光戦略として力を入れてきた成果である一方、受け皿となる個々の宿泊施設・飲食店・観光施設のホームページ側の対応が追いついているかどうかは、また別の話です。次の章では、実際に外国語で検索して見えてきた現状を紹介します。
*1 引用元:朝日新聞(Yahoo!ニュース):鳥取県内の外国人宿泊者、初の年間20万人超え 全国1位の72%増
中国語・韓国語で検索すると、鳥取の個別事業者サイトはほとんど出てこない
これだけ伸びているなら鳥取の宿泊施設や飲食店もインバウンド対応が進んでいるのでは、と思う方もいるかもしれません。実際に上位国籍の言語で検索し、確認してみました。
韓国語で「돗토리 여행(鳥取旅行)」と検索すると、上位に並ぶのはトリップドットコムやトリップストアといった旅行プラットフォーム、鳥取県観光連盟の公式サイトです。飲食店の紹介記事も見つかりましたが、掲載されているのは旅行メディア側がまとめた店舗名・料金帯・営業時間の情報で、店舗自身が運営する韓国語ページへ直接たどり着ける例は見当たりませんでした。宿の予約についても同様で、旅行会社の予約ページが上位を占め、施設の公式サイトが韓国語で表示されるケースはごくわずかです。
中国語(簡体字)で「鸟取 旅游(鳥取旅行)」と検索した場合も傾向は近く、日本政府観光局(JNTO)や観光メディアMATCHA、山陰地方の飲食店紹介サイトなどが上位を占めています。鳥取和牛や松葉ガニといった名物の紹介記事は充実している一方、個別の店舗や宿泊施設が自社サイトで直接情報発信している例はやはり少ないという印象です。台湾向けの繁体字表記でも大きく傾向は変わらないと考えられ、いずれの言語でも「鳥取という土地の魅力」は第三者メディアがすでに十分発信している状態です。
つまり、鳥取を訪れる中国語・韓国語圏の旅行者は、個別の店舗情報を旅行プラットフォームや観光メディア経由でしか得られていない状態にあります。裏を返せば、事業者自身が多言語ページと明確な予約導線を用意すれば、検索結果に直接入り込める余地がまだ大きく残っているとも言えます。ここが、鳥取のインバウンド集客における最大のチャンスだと私は見ています。
なお、今回の確認はGoogle検索を基準にしたものである点には注意が必要です。韓国では検索エンジンとしてNaverのシェアが高く、旅行情報もNaverブログや現地の旅行アプリで探す人が多いと言われています。中国本土ではそもそもGoogleに接続できない環境が一般的で、百度(Baidu)での検索に加えて、微信(WeChat)や小紅書(RED)といったSNS上での口コミが旅行先選びに強く影響します。Google検索だけでは見えない部分にも情報の空白があるかもしれない、という前提を踏まえたうえで多言語対応を考えると、自社サイトだけでなくSNSでの発信もあわせて検討する価値があります。
多言語対応だけでは足りない、予約・決済までつなげる仕組みが必要
検索結果の傾向が見えたところで、事業者側で具体的に何を整えればいいかを見ていきます。多言語ページを公開すること自体はゴールではなく、そこから予約や来店につながる導線まで一体で設計する必要があります。
上位3か国の言語ページを優先する
英語ページだけを用意して満足してしまうケースがありますが、鳥取の実際の宿泊者数を踏まえると中国語・韓国語のページの方が優先度が高いと考えられます。すべての言語を一度に揃える必要はなく、まずは自店の客層に近い1〜2言語から着手するのが現実的です。メニューや館内案内など、間違いが致命的になりやすい情報から優先的に整えていくと、限られた予算でも効果を出しやすくなります。
予約・決済導線を現地でよく使われる方法に合わせる
多言語ページを作っても、予約フォームが日本語のみだったり、対応する決済手段が限られていたりすると、途中で離脱されてしまいます。海外発行のクレジットカードへの対応状況に加え、韓国であればKakaoPay、中国であればAlipayやWeChat Payのように、国ごとによく使われる決済手段が異なる点にも注意が必要です。予約完了までの一連の流れが、その言語のまま完結するかどうかを一度見直す価値があります。
Googleビジネスプロフィールの多言語情報を整える
自社サイトだけでなく、検索結果やマップに表示されるGoogleビジネスプロフィールの営業時間・メニュー・写真も、多言語圏の旅行者が来店を判断する材料になります。ここが日本語のみだと、自社サイトにたどり着く前の段階で選択肢から外れてしまうケースもあります。口コミへの返信を多言語で行うことも、次の旅行者への安心材料として効果があります。
こうした対応は、どれか一つだけを整えても効果が限定的になりやすく、多言語ページ・予約決済導線・Googleビジネスプロフィールの三つを合わせて見直すことで、検索から予約までの流れが初めてつながります。
多言語対応やホームページ全体の見直しについて相談したい方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。
韓国からのローカル志向の高まりは鳥取にとって好機
ここまでは検索結果や統計から見えてきた話ですが、今後の動きとして気になる点もあります。
近年、韓国では都市部の定番観光地よりも、地方ならではのローカルな体験を求める旅行者が増えていると言われています。ソウルから直行便のある鳥取は、こうした層にとって「知る人ぞ知る」ニッチな旅行地になっていく可能性があります。知名度で大都市圏の観光地に対抗するのは難しくても、地方らしい暮らしや自然を求める層にとっては、鳥取の規模感や落ち着いた雰囲気そのものが強みになり得ます。
こうした流れが本格化してから多言語対応に着手するのでは、対応の遅れがそのまま機会損失につながりかねません。今のうちから韓国語ページや予約導線を仕込んでおくことは、今後この動きが広がったときの備えとして効果があると私は考えています。
よくある質問
鳥取の実際の宿泊者数では中国・韓国・台湾が上位を占めるため、英語のみでは主要な客層をカバーしきれない可能性があります。
言語数やページ量によって幅がありますが、まずは主要ページのみを1〜2言語で始め、段階的に広げていく進め方も可能です。
メニューや料金など誤解が生じやすい情報は特に、機械翻訳のみに頼らず一度ネイティブチェックを挟むと安心です。
SNSは発見のきっかけとして有効ですが、予約や詳細情報の着地点として自社サイトがあると、比較検討から予約までの導線が途切れません。
自店の実際の客層や、これまでの予約経路を振り返ったうえで、宿泊者数の多い中国語・韓国語のいずれかから始めるのが現実的な進め方です。
まとめ
鳥取のインバウンド観光は全国トップクラスの伸び率で拡大しているものの、実際に中国語・韓国語で検索してみると、個別事業者の情報発信はまだ手薄な状態でした。旅行プラットフォームや観光メディアが土地の魅力をすでに広めてくれている今だからこそ、そこに乗る形で自社の多言語ページと予約・決済導線を整えることが、鳥取の観光業にとって現実的で効果の見込める一歩になります。
対応エリア:鳥取県内 / 全国(オンライン対応)